太陽光の発電コスト 2030年時点での試算価格が最安に
2021.08.02
皆さんこんにちは!
新潟での自家消費型太陽光・脱炭素化のことならテクノナガイにお任せ!
テクノナガイの渋谷です!
今回は先日、経済産業省の資源エネルギー調査会、発電コスト検証ワーキンググループから発表され、新聞やニュースでも取り上げられた「2030年時点での各発電設備の試算結果」についてのお話です。
今回は、2021年と2015年の公表内容を踏まえ、それぞれどういった内容だったのか、それを踏まえた太陽光発電の今後などをご説明します。
===目次======================
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1.発電コストの試算内容とは
経済産業省が今回公表した内容では、下記発電所の発電コストを試算した結果となっております。
・石炭火力
・LNG火力 <※LNG=液化天然ガス>
・原子力
・石油火力
・陸上風力
・洋上風力
・太陽光(事業用)
・太陽光(住宅)
・小水力
・中水力
・地熱
・バイオマス(混焼)
・バイオマス(専焼)
・ガスコジェネ
・石油コジェネ
※コジェネ = コジェネレーション(熱電併給)の略
発電時の排熱を回収し、工場の熱源や冷暖房・給湯設備などに利用すること
今回公表された資産で最も注目されたのは、この15種類の電源施設をそれぞれ『更地に新たに建設・運転する場合のkWhあたりのコスト』を試算したものです。
詳しい数値などは次の項目で説明します。
2.2015年時の試算と今回の試算について
今回、特に注目されたのは2030年における発電コストの試算結果なのですが、この試算に関しては2015年にも公表されております。
前回公表された2015年の試算と、先日公開された2021年の試算共に下記に掲載しますので、見比べて頂ければ分かりやすいかと思います。
表を見比べてみますと、昨今の情勢により発電コストが増えたものもあれば、下がったものもあるのが分かります。
今回の試算では、初めて太陽光(事業用)が8円台後半~11円台後半となり、原子力発電の11円台後半~ を下回る結果になったということがメディアで大きく取り沙汰されました。
※2015年では 原子力発電が最安で10.3円~ 太陽光発電(メガ・事業用)が12.7円~
2021年では、原子力発電が11円台後半~ 太陽光発電(メガ・事業用)が8円台前半~11円台後半
原子力発電が+1円ほど 太陽光発電は-4円ほど となっている。
過去にこのような試算がされた際にも、原子力発電が安全対策費や廃炉・除染の費用などの追加コストの反映を行い、徐々に試算コストが上がってきていました。
今回は、今までコスト面で有利と言われていた原子力より太陽光発電のほうが低コストという試算が経済産業省から初めて公表された結果となりました。
ただし、この試算はあくまで「2030年時点に発電設備を新設した場合のコスト」であり、「立地制約などを考慮せず、機械的に算出している試算」となっております。
実際には既存の設備を使い続けた場合や燃料費の変動、設備の稼働年数・利用率などで試算の前提が変われば、結果も変わるものだということは頭に入れておく必要があります。
3.今回の試算を踏まえた太陽光発電の今後
今回の試算では、2030年時点で『太陽光発電は15の発電設備中、新築する場合は最も低コスト』ということになり、今後の『太陽光の主電力化』を後押しするような内容とも言えます。
今年6月には政府から、公共建築物には原則として太陽光発電設備し、再生可能エネルギーの導入量を増やすという発表がありました。
今回、新築住宅への太陽光発電導入の義務化は見送られましたが、すでに省エネ基準の住宅(ZEH)では導入がほぼ必須となっています。
この『新築住宅の太陽光発電の設置義務化』については、実はアメリカのカリフォルニア州が2020年から実施しています。
この義務化は全米で初めてのことであり、太陽光発電システムの設置以外にも「住宅内外への熱移動防止を目的とした断熱カバーの基準改定」「居住・非居住用換気システムの要件」「非住居用の照明の要件」の4分野に重点を置いています。また、熱ポンプや蓄電池などの組み合わせを行い、高い費用対効果を意識した新基準になっています。
この新基準では太陽光発電システムだけでなく、高効率の省エネ機器を組み合わせることにより、新築住宅におけるエネルギー使用を50%以上削減し、化石燃料車11万5,000台分の温室効果ガスの排出を削減できると試算しています。
金額面でいえば、1軒あたりのコスト負担増は維持費を含めて約9,500ドルになるが、導入後の約30年でのエネルギーコスト削減効果は約19,000ドルになる。これは月々約80ドルの冷暖房・署名などの光熱費削減に相当するとのことです。
この流れは、今までカリフォルニア州で消費者と事業者の双方に補助金や税優遇などの施策を講じて太陽光発電システムの導入を加速させてきた結果、出来た動きだと考えられます。
同州では2019年時点では新築への太陽光発電システムの導入が30%に達し、施工会社も技術・経験を積んできたこと。
そして、太陽光発電システムの設置による費用対効果が見込めるようになったからこそ、義務化の選択ができた とされています。
同州が主軸となり、太陽光発電システムを普及させてきたからこそのスムーズな移行だと言えます。
日本では今年6月に『新築住宅への太陽光発電設置義務化』に関しては見送られることとなりました。政府の検討会からは「ぜひやるべき」との意見もあれば、「日当たりや気候などの設置条件を加味した制度が必要」などの慎重意見も出ています。
検討会では「今すぐの義務付けは難しい」との意見は多いようですが、「義務付けは必要ない」という意見は出てはいないようです。将来的な義務化の話や「2025年や2030年義務化」という声もあがっており、今後も政府からなんらかの動きがありそうです。
実際、日本の『新築住宅への太陽光発電設置義務化』はどうなのでしょうか?
弊社は住宅向けから法人向けと大小様々な規模で太陽光発電を手掛けており、私も設計をし、お客様とお話させて頂く機会もございます。
あくまで私個人としての考えではありますが、正直なところ『現時点での住宅向け太陽光発電の義務化は難しいのではないか?』と考えています。
(正直なところ、制度化されれば弊社のお仕事も増えそうなので喜ばしくはあるのですが・・・それ以上に懸念点がございます)
実際に太陽光発電設置のお話を頂いた場合、『どのように太陽光パネルを配置し、どの程度の発電量が見込めるのか』という「設計」「シミュレーション」から入ります。
そして実際、シミュレーションしてみると、必ずしも『太陽光発電を導入してプラスになる』住宅や建物だけではなかったりします。
「他建物などの影響で影が出来て、想定する発電量が出ない場所への設置」は、それを踏まえてお客様にご判断頂くことになりますし、「積雪量がかなり多い地域では、設備の対応積雪量を越えている」場合があります。そのような場合は、そもそも設置をすることが出来ません。
現状、公表された内容や情報では「設置場所や地域によって発電量の差が出るところを、どのようにカバーして制度を作るのか」というところも、全く見えてきておらず、一部の消費者・施工業者の太陽光発電への理解もFIT制度(固定買取制度)全盛期の偏ったものになっていることが多い と感じています。
もし、政府としてこれを制度化していくなら、『今の太陽光発電の在り方を伝える』『しっかりと費用対効果の試算を行い、導入基準を作った上での制度決定』とならなければ、住宅購入者の費用負担のみが嵩むようになり、そもそも新築住宅の購入に対して足踏みしてしまいそうな気配があります。
脱炭素化を目指すために、日本だけでなく海外でも進む太陽光発電の導入推進・・・
今後、日本でも制度化の動きは進んでいきそうですが、しっかりと『導入時のメリット』『国としての補助』『導入効果』などを明確にした上での、政府としての太陽光発電の導入推進の動きとなってほしいところです。
新潟での自家消費型太陽光・脱炭素化ならテクノナガイ!
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