太陽光発電の普及と電源確保問題【前編】
2022.01.31
皆さんこんにちは!
新潟での自家消費型太陽光・脱炭素化のことならテクノナガイにお任せ!
テクノナガイの渋谷です!
世界的なSDGs・脱炭素化の広まりや日本政府が発表した「2050年カーボンニュートラル宣言」により、国外・国内でも再び太陽光発電などの再生可能エネルギーが注目されています。
しかし、自然エネルギーを利用するということは、天候や季節にも左右されるということ。
脱炭素化への関心が高まるにつれて、再生可能エネルギー(太陽光・風力発電など)の話題も多く聞こえてきます。
近年では、それに合わせて電源確保問題が取り沙汰されることも増えてきました。
太陽光発電に取り組む弊社として、もちろん見過ごせない問題です。
そこで、今回のコラムでは太陽光発電に焦点を当て、太陽光発電の普及と電源確保問題についてお話します。
(今回は小難しいお話が多くなることもあり、前編・後編の2本立てでお送りします!)
===目次======================
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さて、世間的なSDGs・脱炭素化への関心が高まるにつれて、再生可能エネルギーの注目が高まっています。
世界各国でも太陽光発電の注目度が高まっている中、日本国内でも政府が発表した「2050年カーボンニュートラル宣言」により太陽光発電や風力発電への注目が大きく高まりました。
再生可能エネルギーはいろいろありますが、今回は太陽光発電のみに焦点を当ててお話していこうと思います。
脱炭素化を進めていくにあたり、家庭や業務部門ではオール電化を進めていき、自動車などの運輸や産業機械などの燃料に関してもEV化や水素を今後活用していくと言われております。
電力についてももちろん、今までの化石燃料を利用した火力発電所の稼働を少なくし、その分を水素やアンモニアによる次世代の発電方法や自然エネルギーを利用した発電(再生可能エネルギー)を導入して補っていく という方向がよく言われています。
今回、再生可能エネルギーに関して改めて太陽光発電の注目が高まった要因としては、やはり『導入コストの安さ』『導入のしやすさ』が挙げられると言えます。
太陽光発電は、住宅屋根上やカーポート、商業施設や工場・倉庫の屋根、ソーラーシェアリングによる農地活用、工業地帯の空き地に設置された広大な太陽光発電設備など、今では大小様々なものが様々なところで見かけられるようになりました。
住宅に関していえば、ある調査では新築住宅の15~30%程度が太陽光発電を導入しているという話もあります。
それだけ、太陽光発電は身近で導入しやすいものになっているのです。
そして、太陽光発電は政府が目標としている『2050年カーボンニュートラル宣言』をうけ、2021年8月には国土交通省で2030年までに新築戸建住宅の6割に太陽光パネルを設置するという数値目標を設ける方針を発表しています。
また、資源エネルギー庁の発表した2030年度のエネルギー供給の見通し(エネルギーミックス)は下記のようになっています。
※資源エネルギー庁『2050年カーボンニュートラルを目指す 日本の新たな「エネルギー基本計画」』より抜粋
これを見ると2030年の見通しは、平成27年策定時の見通しより大きく変わっています。
比較すると、再生可能エネルギーの比率が大きく増え、より省エネへ舵切りをされていることが分かります。
今後、この指針を基に動いていくと考えられる中で、政府の目標である新築住宅への太陽光発電設備の導入率向上も間違いなく進んでいくものと思われます。
今後、このような動きから新築住宅への太陽光発電設置に関してを『推進』、あるいは行く行くは『義務化』の方向で進みそうな気配がありますが、それだけではなく設置する側の負担を軽減するため補助金などの優遇もしっかり行ってほしいと思う所です。
世間的なSDGs・脱炭素化への関心が高まり、今度更に再生可能エネルギーの導入が進んでいきます。
再生可能エネルギーは輸入に頼らない国産エネルギーで、なおかつ発電時にCO2を排出しないという利点がある一方、気候や天候に左右されるなどの課題が上げられます。
太陽光発電で懸念される点として挙げられるのは『冬場の発電量が低くなるため、太陽光発電に依存すると冬場の暖房需要などで電気需要が増える中で対応しきれない』というものです。
昨今の脱炭素化の動きの中で太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入が広がりを見せています。
近年では、電力各社は稼働率が低下している古い石油火力発電所を休止・廃止してきました。
これの主な理由としては、燃料コストが大きい石油火力を廃止し石炭火力発電を増強する方針があったことがあげられます。しかし、石炭火力はCO2などの温室効果ガスを多く排出するため、国内外からの避難や政府が『2050年カーボンニュートラル』の方針を打ち出したことから見直しを迫られました。
原子力発電所の再稼働に関しても様々な懸念から電力各社の思うようには進んでおらず、洋上風力発電・水素発電・アンモニア発電などの次世代発電もまだまだ開発に時間がかかりそうな状況です。
今回の話は、私たちが日々使っている電気の仕組みも重要になっています。
現状では、電気を大量に貯めることが難しい状況と言えます。これは、もし電気を大量に貯めるために大規模な蓄電設備を作るのにも莫大なコストがかかるためです。
そのため、使われる電気と発電する電気を同じ量をさせるために、日本では出力が安定している原子力発電や比較的容易に出力を変化できる火力発電などの各電源を組みあわせ、きめ細かく調整して電気の需要・供給のバランスを取っています。
このバランスを取る理由ですが、我々が普段使う電気は需要・供給のバランスが取れた電気です。仮にバランスが崩れてしまい、必要以上の過剰な電気を流す・あるいは流す電気が少なすぎると家庭や企業で使用している機器に悪影響を与える可能性があり、場合によっては故障や大規模停電などが起きる危険が懸念されるためです。
近年、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入量が増えるにつれ、今まで主力であった火力発電などの施設の稼働率は年々低くなっています。
これは電力会社の出力制御に『優先給電ルール』という仕組みがあるためです。
この『優先給電ルール』は電力の需給バランスを整えるためのルールであり、下記のように決められています。
<優先給電ルールに基づく対応>
①「火力(石油・ガス・石炭)の出力制御・揚水の活用(余った電気を利用した水のくみ上げ)」
②「他地域への送電制御(連系線)」
③「バイオマスの出力制御」
④「太陽光・風力の出力制御」
⑤「長期固定電源(水力・原子力・地熱発電)の出力制御」
※長期固定電源とは、出力制御が技術的に困難な発電方法となります。
この①~⑤の順番で出力が制御されます。
例えば、ある電力会社管轄内で電力の供給が多くなりすぎて、需要を越えてしまいそうになった場合、このルールに基づき①から順番に制御されてバランスを取っています。
そのため、火力発電が真っ先に出力制御され、場合によっては電力が過剰供給されそうな時期では休止されるような状況になっています。あまりに稼働率が低ければ、稼働を止める・廃止する検討がされるのも仕方ないといえます。
しかし、このような中で2021年1~2月には大寒波、7~8月には猛暑による電力需要のひっ迫が予想され、電力各社は対策に追われました。昨年秋には2022年2月には過去10年で最も電力需要がひっ迫するとの予測がされました。
現在、日本の発電所の主力は液化天然ガス(LNG)での火力発電です。2021年1月にはアジア各国の厳冬の影響で各国のLNG調達が拡大し、品不足が発生したことで西日本地域の電力需要がひっ迫しました。これを受け、政府は電力各社に休止中の石油火力発電所の再稼働を求める方針なども挙がりました。
こうした中で先に出た太陽光発電の懸念点『冬場の発電量が低くなるため、太陽光発電に依存すると冬場の暖房需要などで電気需要が増える中で対応しきれない』が出てきます。
一説にはなりますが、『脱炭素化の動きにより太陽光発電が普及する』→『太陽光発電に依存することになる』→『主な発電手段である火力発電所の休止・廃止が進む』→『太陽光発電は冬場の発電量が少ない』→『冬場に必要な電気の量が確保できずに電力需要のひっ迫が起きやすくなる』という流れの懸念です。
皆様ご存じの通り、日本国内の太陽光発電は春~夏場に多く発電しますが、冬場はどうしても発電量が落ちる傾向があります。
これは「雪国では太陽光パネルに雪が積もって発電しない・・・」という理由ではなく、「日本の冬場は太陽の高度が低く日照時間も短くなるため、発電量が低くなる」というのが主な理由となります。
そのため、日本国内の積雪しない地域に関しても、冬場は太陽光発電での発電量は大きく下がります。
日本には美しい四季の移ろいがありますが、この点だけはどうしても国内の太陽光発電で懸念される点となります。
今回は「太陽光発電の普及と電源確保問題」についてのお話(前編)でした。
小難しい話題でしたが、概要は分かりましたでしょうか?
何かを推し進めるにはどうしてもメリットだけではなくデメリットにも目を向ける必要があります。
次回更新される後編では、この問題の今後の見通しや問題の解決策についてお話致します!
ぜひ後編にもお付き合いください!
※後編記事が公開されました!こちらからどうぞ!!
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本日もお読みいただきありがとうございました!