【MPPTとは?太陽光発電の効率を最大化する制御技術】
2025.04.11
みなさん、こんにちは。
設計部の佐々木です。
今回は【MPPTとは?太陽光発電の効率を最大化する制御技術】についてお伝え致します。
==========目次==========
1.MPPTとは?
近年、再生可能エネルギーの導入が加速する中で、太陽光発電の効率を最大限に活かすための技術が注目されています。その一つがMPPT(Maximum Power Point Tracking/最大電力点追従制御)です。
この技術は、太陽光発電システムにおけるパワーコンディショナー(PCS)やDC-DCコンバータの内部に組み込まれており、太陽光パネルからの直流電力を最大限に引き出す役割を果たしています。
MPPT(最大電力点追従制御)は、「太陽光パネルが発揮できる最大の電力を常に引き出すための制御技術」です。
太陽光パネルは、日射量・温度・負荷の状態によって「最も効率良く電力を取り出せるポイント(最大電力点)」が変化します。MPPTはその変化に追従して、電力を最大限引き出すように動作します。
2.なぜMPPTが必要?
太陽光パネルは常に一定の電力を出せるわけではなく、以下の要素で出力が変化します、
①太陽の角度や雲の影などによる日照の変化
②パネルの温度変化
③系統や負荷の変化による電圧や電流のバランスの変化
こういった変化に合わせて「最も効率の良い運転点」をリアルタイムで探し続けるのがMPPTの役割です。
3.MPPTの仕組み(ざっくり)
MPPTは、太陽光パネルの電圧(V)と電流(I)を微調整しながら、電力(P = V × I)が最大になる点を探します。制御方式にはいくつかあります、
よく使われる方式
- Perturb and Observe法(P&O法)
- 少し電圧を変えてみて、電力が増えればその方向へ、減れば逆にする。
- シンプルで広く使われている。
- Incremental Conductance法(インクリメンタルコンダクタンス法)
- 電圧と電流の変化率を使って、最大点を理論的に判断。
- P&O法より精度が高く、応答も速い。
MPPTはパワーコンディショナー(インバーター)の中に組み込まれていて、直流(DC)電力を交流(AC)に変換する際に、最大効率で電力を取り出せるよう制御しています。
4.MPPTのメリット
- 発電量の最大化(理論上、10~30%向上することもある)
- パネルの特性に合った柔軟な対応
- システムの収益性向上(特に住宅用・産業用どちらにも有効)
- パネルが複数の方位(例:東西)にある場合、独立してMPPTを制御できるようにすると発電効率がさらに上がる。
(例 東面設置パネル;MPPT1 西面設置パネル:MPPT2に設定する・・等。)
導入時に留意すべき点
MPPTは高効率な発電を可能にする非常に有用な技術ですが、システム設計や導入の際にはいくつかの観点で留意が必要です。
たとえば、MPPT機能を搭載したパワーコンディショナーは、シンプルな定電圧型と比べて若干コストが高くなる傾向があります。また、制御によって常に動作点を調整しているため、わずかに電力の変動が生じる場合があります。
また、天候の急激な変化や複数の影の影響などにより、MPPTの挙動が一時的に最適化されないケースも考えられます。そうした点を踏まえ、導入環境や目的に応じて最適な構成を選択することが重要です。
とはいえ、これらの課題は年々改善が進んでおり、現在では多くのシステムで安定したMPPT動作が実現されています。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか。
参考までに、中小企業庁からMPPTに関しての検証レポートがありますのでご覧下さい。
MPPTは、太陽光発電の効率と経済性を高めるために欠かせない技術です。これからの再エネ時代において、MPPTの理解と適切な設計は、発電システムのパフォーマンスを左右する大きな鍵となるでしょう。
もちろんテクノナガイソラーレではMPPT機能搭載のパワーコンディショナーの取り扱いがございます。設計部にて最適な構成になるよう発電システムを設計して提案させていただきます。ご用命の際はぜひお声がけください!
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